俺が俺がの我を捨てて、お陰お陰の下《げ》に生きよう
伝教大師の言葉に「忘己利他《もうこりた》」というのがあります。「もう懲りた」じゃないですよ。
「忘己利他」とは、自分の利益よりも他人の利益を優先して生きなさいという教えです。
私たちは知らず知らずのうちに自己中心的な生き方に執着してしまいます。
自己満足のために他の人を犠牲にしてないでしょうか。
もしそうなら深く反省しなければいけません。
「おかげさま」(上所重助)
夏が来ると「冬がいい」と言う
冬が来ると「夏がいい」と言う
太ると「痩せたい」と言い
痩せると「太りたい」と言う
忙しいと「暇になりたい」と言い
暇になると「忙しい方がいい」と言う
自分に都合のいい人は「善い人だ」と言い
自分に都合が悪くなると「悪い人だ」と言う
借りた傘も 雨が上がれば邪魔になる
金を持てば 古びた女房が邪魔になる
所帯を持てば 親さえも邪魔になる
衣食住は昔に比べりゃ天国だが
上を見て不平不満の明け暮れ
隣を見て愚痴ばかり
どうして自分を見つめないのか
静かに考えてみるがよい
一体自分とは何なのか
親のおかげ
先生のおかげ
世間様のおかげの固まりが自分ではないか
つまらぬ自我妄執を捨てて
得手勝手を慎んだら
世の中はきっと明るくなるだろう
「俺が」、「俺が」を捨てて
「おかげさまで」、「おかげさまで」と暮らしたい